妊娠中の食事の影響はいつから?初期にいい食べ物、食べてはいけないもの
「妊娠初期につわりで食べられないけど、赤ちゃんは大丈夫?」妊娠中に食事がほとんどできないと、赤ちゃんへの影響が気になりますよね。また、お菓子やジャンクフードばかり食べているママも、赤ちゃんへの影響が心配なのでは?
妊娠中の食事で赤ちゃんに影響が出るのは、妊娠5ヶ月からです。 なぜ妊娠5ヶ月まではそれほど影響がないのか紹介します。合わせて、妊娠初期にいい食べ物、妊娠中に食べてはいけないものもチェックしてみましょう。
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妊娠中の食事で影響はいつから?
妊娠に気が付いたら、赤ちゃんのために栄養バランスを考えたいですよね。しかし、妊娠に気が付かず悪いものを食べてしまうこともあるので、妊娠中はいつからママの食事の影響が出るのか知っておきましょう。
妊娠初期は食べられるものを食べよう
妊娠初期の赤ちゃんはまだ「胎芽」と呼ばれる状態で、胎芽を包んでいる「胎嚢」が見えます。赤ちゃんの胎嚢がエコー検査で見え始めるのは妊娠4週~5週くらいです。
胎芽と呼ばれる赤ちゃんは、まだママの栄養をもらっていません。胎嚢の中に「卵黄のう」と呼ばれる栄養があります。
卵黄のうは胎盤が完成するまでの、赤ちゃんの栄養源です。このころの赤ちゃんはママからの栄養に頼っていないので、ママは「食べられるものを食べる」の考え方をしましょう。
妊娠初期はつわりでほとんど食べられないママも多く、「赤ちゃんのために食べなきゃ」と無理に食べる必要はないのです。つわりで何も食べられなくても、赤ちゃんには別の栄養源があるので安心してくださいね。
影響が出るのは胎盤ができる妊娠5ヶ月以降から
妊娠中にママが食べたもので赤ちゃんに影響が出てくるのは、胎盤が完成する妊娠5ヶ月以降です。 妊娠週数でいえば妊娠16週以降くらいに胎盤が完成していきます。胎盤が完成すると、ママの血液を通して赤ちゃんに栄養を届けるようになります。妊娠初期は妊娠に気が付かず「お菓子ばかり食べてしまった」「偏った食事になってしまった」など後悔することがありますが、胎盤が完成する前ならそれほど気にする必要はありません。
妊娠初期にいい食べ物
胎盤が完成していない妊娠初期は、母体が食べたものの影響は赤ちゃんにほとんどありません。しかし、妊娠初期は唯一積極的に摂取したほうがよいものがあるのです。
葉酸を摂取する
妊娠初期に摂取したい栄養素とは、「葉酸」です。厚生労働省も妊娠1ヶ月前~妊娠3ヶ月までの間に、葉酸の摂取量を増やすことを推奨しています。
妊娠初期は赤ちゃんの重要な器官ができることから、細胞分裂に必要な葉酸の必要量が高まるためです。食事だけで妊娠初期に必要な葉酸の基準値に満たすことは難しいため、厚生労働省は食事+モノグルタミン酸葉酸を400μg摂取することを推奨しています。
妊娠1か月前から摂取すること
妊娠1ヶ月前から葉酸の摂取量を高める必要があるのは、妊娠に気が付いたときはすでに4~6週に達しているためです。気が付いたときには赤ちゃんの神経細胞や脳などの器官ができあがっているので、妊娠を希望する方は妊娠前から葉酸の摂取量を高めなければなりません。
葉酸は野菜や果物に多く含まれています。成人に必要な葉酸の量は、普通に食べていても満たすことは可能です。妊娠中はいつもの食事にモノグルタミン酸型として400μgを加えるようにしてください。
野菜から摂取するなら1日800μgプラス
野菜に含まれるポリグルタミン酸型は吸収量が50%に低下してしまうため、食事だけで摂取する場合は800μgプラスする必要があります。
妊娠中に食べてはいけないもの
妊娠中はできるだけ食べないほうがいい食品が幾つかあります。絶対に食べてはいけないものは少なく、食べる量を制限する食品が多いです。
水銀が多い海産物
魚介類は水銀を含んでいる恐れがあるので、妊娠中は食べられる魚介類をチェックしておきましょう。水銀を多く含んでいるのは、食物連鎖で頂点に近い生き物です。
中型の魚が小魚を食べ大型の魚が中型の魚を食べて、体内に水銀が蓄積していきます。水銀の量が多いのはマグロやメカジキなどの大型の魚です。
母体を通して水銀が赤ちゃんに伝わると、胎児はまだ水銀を外に排出できないので、影響が出る可能性があります。厚生労働省は妊娠中に食べられる1日の量を公開しています。詳しく知りたい方はサーモンの記事で確認してみてください。
大型魚は水銀のリスクがありますが、妊娠中に魚を食べてはいけないわけではありません。魚にはDHAやEPAなど赤ちゃんの脳に必要な栄養が含まれています。
現代人は魚を食べる機会が少ないことから、葉酸サプリにDHAやEPAを加えている商品もあります。これらの栄養素は妊娠中の早産対策や、マタニティブルー対策にもおすすめです。
子宮収縮の恐れがあるハーブ類
ハーブ類の中には、子宮を収縮する可能性のある食材が含まれます。専門家の間でも見解は違うようですが、アロエ、カモミール、セージ、ローズマリー、タイムなど食事で使うことが多いハーブは妊娠中に注意が必要です。
ラズベリーリーフは、臨月にハーブティとして飲んで、お産を助けるために活用されることがあるくらいです。カモミールティは安眠などの対策に使うことがあるハーブですが、妊娠中は避けるようにしてください。
ビタミンAが多い食品
妊娠中はビタミンAの過剰摂取で、胎児に影響が出る可能性があります。過剰摂取に注意が必要なのは、うなぎやレバーなどに含まれている動物性のビタミンAです。
緑黄色野菜に含まれているβ-カロテンは、必要な分だけビタミンAに変換されるので心配はありません。魚類ではアナゴ、さんま、ホタルイカなどにもビタミンAが多いので、食べ過ぎないよう注意しましょう。
お酒
妊娠中はアルコールが含まれるお酒を飲むのを避けるようにしましょう。食品安全委員会が発表した内容によると、どの妊娠期間でも注意が必要とのことです。
妊娠中にアルコールを摂取すると、赤ちゃんにもアルコールが伝わってしまいます。赤ちゃんに影響がおこると、脳の形成など成長に問題が出る恐れがあるので注意が必要です。
赤ちゃんの脳の発育に問題が出ると、生まれてきた子どもの「集中力が維持できない」「感情を抑制できない」などの影響が出ることがあります。体の成長に問題が出れば低体重での出産となる可能性もあるので注意ましょう。
初期のころに妊娠に気が付かずアルコールを飲んでいた方は、どのくらいの量をどのくらいの期間飲んでいたのか医師に相談するようにしてください。
カフェインが多い飲み物
妊娠中にカフェインが多い飲み物を過剰摂取すると、赤ちゃんの低体重や流産をおこすという指摘があります。WHOの発表によると、妊娠中は300mgまでのカフェイン摂取量に留めるべきだとされています。
コーヒーはストレスを和らげ、眠気冷ましにも使うことができます。妊娠中にコーヒーを飲みたい場合は、2杯くらいの量に留めると安心です。
市販の商品にはカフェインレスのコーヒーも売られているので活用しましょう。カフェインはチョコレートや栄養ドリンクにも含まれているので、嗜好品の摂取量にも注意してください。
ジャンクフード
ジャンクフードの類は、塩分や油分が多く含まれているものがあります。妊娠中は塩分の摂取量も制限したいので、ジャンクフードはたまに食べる程度にしましょう。
妊娠中は体調が悪く家事をしたくないときもありますよね。そのようなときに時々ファーストフードを活用する程度なら問題ありません。しかし、ジャンクフードは栄養が偏っていて高カロリーの食品が多くなっているので、食べ過ぎには注意が必要です。
毎日ジャンクフードばかりだと、太りすぎで難産になったり、妊娠高血圧になったりするかもしれません。つわり中にポテトしか食べられず、ジャンクフードばかりという方もいるようですが、つわりで特定の食品しか食べられないなら妊娠中のトータルでバランスを取りましょう。
生卵や生肉など生の食品
生卵にはサルモネラ菌が付着している恐れがあるので、妊娠中は避けるのが無難です。卵自体はアミノ酸スコアが高く栄養補給にいいので、加熱したものを食べるようにしてください。
サルモネラ菌は75度を1分以上で加熱すると死滅します。スクランブルエッグなどしっかり熱を通したものが安心です。親子丼や目玉焼きなど半熟にする料理は、妊娠中はしっかり火を通して食べましょう。
生肉はトキソプラズマのリスクがあるため、妊娠中は避けるようにします。65度状に加熱すると死滅するので、お肉を焼くときはしっかり火を通すのがポイントです。
妊娠中はユッケなどの生肉を避けるのはもちろん、ステーキのレア部分にも注意しましょう。猫の糞にもトキソプラズマが含まれている可能性があるので、猫を飼っている方で心配なら病院で検査してもらってください。
猫を飼っていてすでにトキソプラズマに感染しているなら、妊娠中に影響が出る可能性は低くなります。妊娠中に始めてトキソプラズマに感染するとリスクが高くなるので注意してください。
インスタントやレトルト食品
インスタント食品やレトルト食品は、食品添加物が多く含まれているので、妊娠中は避けたい食品です。塩分も多い食品のため、妊娠中はできるだけ手作りのメニューを心がけましょう。
しかし、妊娠中だけ食品添加物を避けても、あまり意味がないともいわれています。食品添加物は体に蓄積しやすいので、妊娠を希望される方はその前から避ける工夫が必要です。
ヨウ素が含まれている海藻類
海藻類に含まれているヨウ素は、妊娠中にとり過ぎないようにしましょう。ヨウ素を過剰摂取すると、赤ちゃんの甲状腺に影響を及ぼすことが指摘されています。
ヨウ素は昆布やわかめなどの海藻類に含まれています。昆布は出汁にも使うもので、昆布だしのめんつゆや鍋つゆにも注意しておきましょう。
ヒ素が含まれているひじき
ひじきにはヒ素が含まれているので、妊娠中は食べ過ぎに注意が必要です。毎日食べなければ影響は出にくいので、ひじきは小鉢1杯を週に2回までに留めるようにしてください。
妊娠中に食べてはいけないお菓子
市販のお菓子は食品添加物、カフェイン、塩分が含まれているものもあるので注意が必要です。しかし、「妊娠中に絶対におやつを食べてはダメ」と決めてしまうとストレスが溜まり、ドカ食いのリスクがあるので、適度な量ならOKとしてしまいましょう。
妊娠中におやつを取り入れるなら、葉酸も摂取できる果物がおすすめです。便秘しやすいママは、ふかしたサツマイモを取り入れるのもよいでしょう。
市販のスナック菓子が食べたくなったら、昔ならではの素朴なお菓子がおすすめです。妊娠中に体調が良いようなら、手作りのおやつにチャレンジするのもいいですね。
妊婦は食事制限をしてはいけない理由
妊娠中は初期~後期までバランスの取れた栄養摂取が必要です。しかし、近年の女性は「やせ」や「やせすぎ」の体系の人が増えていて、妊娠中も食べる量が増えず栄養不足が指摘されています。
日本は先進国の中でも痩せすぎの傾向があります。妊娠前からスタイル維持に気を付けていた方は、妊娠中も太りたくないことから食べる量が増えない傾向があるようです。
以前は妊娠中に太りすぎを指摘することが多かったのですが、近年は逆に痩せすぎを指摘されることも少なくありません。妊娠中に適切な体重が維持できないと、生まれてくる子どもに影響を及ぼす可能性があります。
まとめ:妊娠5ヶ月以降から食べ物に注意しよう
妊娠中に食べたものが赤ちゃんに影響するのは、胎盤ができる妊娠5ヶ月以降からです。胎盤からママの血液を通して栄養が送られるようになります。
妊娠中は全期間を通してバランスの良い食事が理想的ですが、つわりで妊娠初期にほとんど食べられなくても赤ちゃんに影響はありません。吐き気がおさまれば自然と食欲も増えてくるはずなので、心配しなくても大丈夫ですよ。
胎盤はフィルターの役割も果たしていて、赤ちゃんに有害なものは届かないようにできています。そのため、妊娠5ヶ月以降も、多少の食品添加物や有害金属を取り入れてしまったとしても心配し過ぎる必要はありません。
あまり神経質になりすぎず、「赤ちゃんのために良いものを食べよう」という考え方で妊娠中の食生活を楽しんでみてくださいね。