黄体依存症【ハルバン症候群】とは?
生理の高温期が長く続いていると、もしかしたら妊娠?とも考えてしまいますが、長く高温期が続いていても、妊娠検査薬で陰性であれば妊娠しているわけではありません。
誰でも高温期は14日くらいといわれているため、20日くらい高温期が続くと体調が悪いのか不安になってしまいますね。
高温期が長く続いてしまうのは、黄体依存症(ハルバン症候群)と呼びます。
黄体依存症という言葉は初めてその名前を聞いた方も多いでしょう。
病気なのか?治療が必要なのか?妊娠は可能なのか?いろいろと不安が出てきてしまいます。
黄体依存症の詳細を紹介しますので、気になる方は確認してみましょう。
Contents
黄体依存症とは?
生理周期が28日だった場合、低温期が14日、高温期が14日程度になります。
一般的な女性の生理周期は28日ですから、理想的だといえるのは高温期が14日前後です。
これよりも高温期の日数が長い場合は、黄体依存症である可能性があります。
しかし、高温期が長く続いている場合は黄体依存症だけでなく、妊娠している可能性もあるわけです。
妊娠は高温期を経てもまだ体温が高い状態が続き、生理予定日から1週間くらいしても生理がこない場合、妊娠している可能性が高いでしょう。
このくらいになると妊娠検査薬も使用できるようになりますから、ドラッグストアなどで購入し自分でチェックしてみることをおすすめします。
21日以上高温期が続いている場合、まずは妊娠しているのかを確かめてください。妊娠検査薬で陰性反応が出たら、黄体依存症も疑いましょう。
黄体依存症とは別名「ハルバン症候群」ともいわれるもので、高温期が長く続く症状のことで、黄体の寿命が通常より長くなっています。
明確な原因や治療方法などは見つかっておらず、黄体が消滅すれば次の生理がきます。
黄体依存症は痛みなどの変化は現れない
黄体依存症は病気とはとらえられておらず、原因が不明です。
一種の体質のような感覚のため、とくに治療は必要ありません。
体に痛みなどの変化も現れることがなく、ただ高温期が通常より長いだけです。
月経前症候群が長くなることも
月経前症候群とはPMSとも呼ばれるもので、排卵日~生理までの高温期に症状を感じます。
・気分が落ち込みやすい
・情緒不安定になる
・眠気が強い
・胸があって痛みがある
・体重が増加してむくむ
・頭痛や腰痛がある
このような症状がおこることがあります。
月経前症候群の高温期の時期にエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が急激に変わるためです。
排卵を境目として2つのホルモンの分泌量が増えるのですが、そのバランスが悪くなっていると、月経前症候群がおこりやすいともいわれています。
ホルモンバランスが乱れる原因は、ストレスが大きいと考えられるでしょう。
女性ホルモンも自律神経を整えるのも脳の視床下部で、ストレスの影響を受けるとホルモンバランスや自律神経に影響を与えるからです。
ホルモンバランスが乱れると月経前症候群が現れやすく、黄体依存症の方は高温期が長いため、その期間が長く続く傾向があります。
基礎体温の変化と女性ホルモンとは?
黄体の寿命が通常より長くなる黄体依存症を正しく理解するには、女性ホルモンと体温の変化を知っておく必要があります。
生理周期でどのように体が変化しているかわからない方は、確認しておきましょう。
女性ホルモンとは?
女性ホルモンはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。
生理がはじまった日には、エストロゲンもプロゲステロンの分泌量も低下しています。
生理が終わったころからエストロゲンの分泌量が増加しはじめて、排卵の少し前にピークをむかえるでしょう。
エストロゲンは子宮内膜を厚くして排卵を促すためのホルモンで、排卵日に受精する環境を整えています。
排卵がすぎるとエストロゲンはいったん減り、今度はプロゲステロンが分泌量を増加させます。
プロゲステロンは子宮内膜を充実させ体温を上げて受精卵の着床を促すホルモンです。
排卵日をすぎるとエストロゲンも再び上昇しはじめ、子宮内膜を厚くさせて受精に備えています。
生理周期は25~38日くらい
女性の卵巣の中には生まれたときにすでに持っている「原子卵胞」があります。
このなかから毎月数個が卵巣のなかで育っていき、排卵に備えているのです。
卵胞はエストロゲンの分泌を促し、子宮内膜を厚くさせます。
子宮内膜が十分な厚さまで成長すると、今度は脳の指令により卵子が飛び出し卵管に入ります。
卵管で卵子は受精を待つのです。
卵胞から卵子が出た後は「黄体」に変わり、黄体からプロゲステロンを分泌しだします。
さらに子宮内膜が充実していき、受精して着床したら妊娠の成立です。
生理とは妊娠に備えて厚くなっていた子宮内膜を排出する行為です。
受精がないと子宮内膜はいらなくなり、剥がれ落ちるときに血液も一緒に排出しています。
黄体依存症になる原因とは?
黄体の寿命は個人差が少なく、およそ14日です。
高温期の始まりは排卵日で、この日を0日と数えます。
排卵がおこった翌日からプロゲステロンが分泌はじめ、体温が上昇するのが一般的です。
高温期にはいってから2~3日後に排卵していることもありますが、プロゲステロンが分泌し始めると体温が上昇するため、高温期は体温上昇の日から数えましょう。
高温期は安定して14日間ですが、これより短い期間になると、プロゲステロンの分泌量が少なく不妊の原因となる可能性があるため病院を受診してください。
高温期は生理周期が25日と短い人も、38日と長い人もだいたい12~16日間の寿命です。
平均すると14日間くらいになります。
生理周期が短い人は低温期が短く、生理周期が長い人は低温期が長くなるということです。
高温期の乱れはストレスが原因のことも
では、高温期が長くなり黄体依存症となる原因は何なのでしょうか?
その原因はストレスが考えられています。
女性ホルモンのエストロゲンもプロゲステロンも脳の視床下部から命令が出されているからです。
脳はストレスに弱く、ホルモンバランスに影響を及ぼしてしまいます。
本当に高温期が長く続いてる?
もしかしたら黄体依存症かも?と思ったら、まずは基礎体温をチェックしましょう。
基礎体温を測っていなければ、たんなる数え間違いという可能性もありますし、排卵日が予測できず高温期が長いと感じることもあるからです。
まずは高温期が本当に21日以上続いているのかを調べる必要があります。
なぜなら、排卵していなければ、生理周期はいくらでも長くなってしまうからです。
低温期と高温期の区別が付かず、排卵日もはっきりとしていない場合は、黄体依存症ではなく、排卵していないために生理周期が長くなっていると予想できます。
生理周期が長くなるとは、低温期が長くなることをいいますから、明確には高温期が長いのではなく、低温期が長くなってしまったということです。
排卵日から14日以上経過しているか?
排卵しておらず生理周期が長くなったか判断するには、排卵日を特定するようにしてください。
次の生理はおよそ排卵日から14日後です。
低温期の周期は人により前後することがありますが、高温期は人による変化はあまり見られず、多くの場合は14日前後となります。
排卵日が明確となれば、本当に高温期が長くなっているのかがわかります。
黄体依存症になった場合の治療方法
基礎体温を読み取り、排卵日から数えて高温期が長期間続いているようなら、黄体依存症の可能性があります。
病院に数か月分の基礎体温表を持っていくと、正しく診断することができます。
もし黄体依存症だと診断されても、治療方法はありません。
黄体が消滅するのを待ち、次の生理がくるのを待つだけです。
しかし、黄体依存症の場合は、次の生理日の予測が難しく、生活に支障がくるという方もいるでしょう。
また、毎回妊娠しているかも?と調べるのも大変ですね。
基本的には薬での治療方法はないので、生活習慣を整えてホルモンバランスを整えることになります。
・ 適度な睡眠をとる
・ バランスのよい食事をとる
・ 極端なダイエットはしない
・ 女性ホルモンと似た大豆のイソフラボンを摂取
などの対策があります。
基本的には、自律神経を乱すストレスを避けて、ホルモン生成に必要な食生活や生活習慣に変えるしかありません。
不妊治療が黄体依存症に影響を及ぼす可能性は?
不妊治療を受けて薬の服用を利用している方は、高温期が長くなる可能性があります。
この場合は黄体依存症というより、薬の影響を受けたといえるでしょう。
クロミッドの影響
不妊治療に用いるクロミッドとは、排卵促進剤のことです。
月経3~5日目から服用し始め、5日間継続します。
クロミッドは脳の視床下部を刺激して、黄体形成ホルモンや卵胞刺激ホルモンの分泌を促す薬です。
脳に直接働きかけ排卵を促すための薬で、低温期が長く卵胞が成熟できない方や、高温期が短く黄体機能不全がある方に使われています。
クロミッドを飲むと排卵が促され卵胞が黄体に変わるため、基礎体温が上昇するのです。
薬自体には体温を上昇させる働きはありません。
低温期の途中で体温が上がってしまった場合は、プロゲステロンが分泌されたためで、一時的な影響のためあまり心配する必要はないでしょう。
ただ薬を何度も使用し基礎体温の変化がわかりにくい場合や、体調の変化が現れた場合は、クロミッドの服用を中止してよいのか医師に相談してください。
黄体依存症と妊娠を見分けるには?
高温期が長くなった場合は、黄体依存症なのか妊娠しているのか区別がつきにくいことがあります。
毎回体温が高い状態が長期間続くと、「妊娠しているかも?」と思わなければならず、疲れてしまうこともあるでしょう。
その場合は妊娠初期症状で区別するようにしてください。
妊娠初期症状で判断する
妊娠しているといつもとは症状が変わることがあります。
初期症状は月経前症候群とも似ていますが、明らかな妊娠の症状がないか確かめてみましょう。
・吐き気がある
・眠気が強くなる
・お腹にチクチクしたような痛み
月経前症候群も妊娠初期も症状が似ているのは、どちらもプロゲステロンの影響を受けているからです。
生理前に吐き気がする方もいますが、妊娠していたときは時間が経つごとに吐き気が強くなってくるため、少し時間をおい症状が強くなるか考えてみましょう。
妊娠検査薬で調べる
生理前に吐き気が強くなってきた場合は、妊娠検査薬を使って調べることをおススメします。
毎回生理前に調べると費用がかさんでしまうため、明らかに妊娠している症状があるときに使いましょう。
更年期の影響で黄体依存症となることはある?
更年期になると黄体依存症となることがあるのでしょうか?
実は更年期になるとプロゲステロンの分泌量が減ってしまうため、高温期がなくなってしまうのです。
更年期は高温期がなくなる
更年期とは妊娠しないホルモンバランスに変化していくことで、次第に排卵することがなくなります。
排卵しなければ黄体がつくられず、プロゲステロンの分泌はないのです。
エストロゲンの分泌量は更年期になっても一気に減ることがないのに対し、プロゲステロンは大幅に分泌量が低下していきます。
つまり、更年期には体温を上昇させるホルモン分泌がないということです。
そのため更年期に黄体依存症になることはありません。
黄体依存症によいサプリメント
ホルモンバランスを整える作用があるサプリメントを頼るという方法もあります。
プラセンタ
豚や馬などの胎盤から抽出したエキスを配合したサプリメントです。
自律神経を整える働きや、ホルモンバランスを整える働きがあるといわれています。
胎盤に含まれる成長因子により、体調を整えると考えられます。
イソフラボン
女性ホルモンと似た働きをすることで有名な成分です。
食品で食べてもよく、納豆や豆腐、豆乳でも代用できます。
エストロゲンが足りない人は補い、過剰な人は抑える働きが得られるといわれている成分です。
ボロン
バストアップサプリにも配合されているボロン。
エストロゲンを活性させる働きがあるといわれています。
骨の形成にも必要となる成分です。
サプリメントに含まれている成分は、女性ホルモンが含まれているわけではなく、薬と違い副作用が無いのがポイントです。
しかし、過剰摂取で健康被害を引き起こす成分もありますから、服用を続けて様子をみることをおすすめします。
ルトラールを飲んでいる場合は医師に相談
ルトラールとは、黄体ホルモン(プロゲステロン)の代わりになる薬のことです。
黄体機能不全による不妊症、無月経、生理不順、更年期障害の薬としても使用する薬です。
この薬には黄体ホルモンが含まれ、服用している間は高温期と同じ状態になります。
ルトラールは一定期間服用し、子宮内膜を充実させてから、服用を中止して生理を起こさせるものです。
この薬を飲んでいて高温期が長期間になっている場合は、薬の影響を受けています。
症状が気になる方は、医師に相談してみましょう。
まとめ
黄体依存症は体質として考えられており、たまたま黄体期が長くなっただけ、という風にとらえられていることが多いようです。
治療を受けるケースは少なく、自然に黄体が消滅して生理がくるのを待ちます。
高温期が長い場合はストレスなどで、女性ホルモンのバランスが乱れていないかもチェックしてみましょう。