枯死卵の原因とは?赤ちゃんが育たないは続くのか?
市販の妊娠検査薬で陽性反応が出てので、病院を受診したら「枯死卵です」と診断されると、はじめての方はなんのことかわからないですよね。なかには病院を受診後、胎嚢を確認できたはずなのに、後々枯死卵となってしまうことがあります。
枯死卵はそのままの状態では赤ちゃんが育ちませんが、根本的な原因を理解してみましょう。
枯死卵の原因とは?
枯死卵とは「こしらん」と呼ばれるもので、繋留流産のひとつです。腹痛や出血など自覚症状はほとんど見られず、受精卵の先天性異常が問題のことが多くなっています。妊娠検査薬では陽性反応が出て妊娠したとわかりますし、病院で超音波検査を受けると胎嚢が見えて、確実に妊娠したと判断できます。
しかし、枯死卵の場合は妊娠のごく初期に胎児が死亡してしまうもので、このころの胎児はまだ胎芽と呼ばれる段階です。胎芽が死亡すると胎嚢に吸収され、しばらくは胎嚢が残った状態となり、中身が無い袋のみが確認されます。
直接的な原因は、受精卵の染色体異常となっています。これは母体がいくら注意していても防ぎようがなく、健康な男女の間でも普通にできることです。
胎児側の因子で流産する
枯死卵とは胎児側の染色体異常の原因により流産することです。妊娠初期に流産した受精卵のうち、60%ほどに染色体異常がみられるともいわれており、なぜ染色体に問題が出るかは原因がわかっていません。通常は遺伝子が2つ対になっているのですが、一部3対になるなど異常が出ており、遺伝とは関係がありません。
染色体とは?
受精卵が育たない枯死卵は染色体異常が原因のことが多いのですが、そもそも染色体とは何なのでしょうか?
人のからだをつくる情報が詰まっているのが遺伝子で、人の遺伝子は22,000個も存在しています。遺伝子がコイル状に繋がっている状態が染色体で、46個の染色体で構成されています。性別による染色体の違いはXとY染色体のみで、男女どちらもこれ以外は同じ染色体を持っています。
染色体異常とは染色体の数が多い場合や少ない場合、形が変わるなどの異常が出ているものです。染色体の数が多くなるのをトリソミーと呼び、どの染色体が多いかによっても種類が異なります。ダウン症候群の場合では21トリソミーのことが多くなっています。
つまり染色体に異常があれば、そのまま受精卵が育つことは少なく、もし育ったとしても障害を持つ子どもが生まれてくるということになります。
染色体異常はなぜ起こる?
枯死卵の原因となることが多い染色体異常ですが、なぜ受精卵ができるときに異常が出てしまうのでしょうか?
それらの直接的な原因ははっきりとは解明されていないのですが、放射線や紫外線などは染色体を切断することが明らかになっています。また薬物の影響や、老化による染色体異常なども確認されています。染色体異常は私たちの体内でも起こりえることで、一部が染色体異常であっても、ほかの細胞が正常であるために健康でいられます。
受精卵が染色体異常になるのも、特別なことではなく、たまたま細胞のなかの受精卵に起こったということに過ぎません。受精卵の染色体異常は、精子や卵子に異常がみられており、それぞれが結びつくことで染色体に異常がある受精卵ができあがります。女性の場合は年齢を重ねるごとに、異常がある卵子が発生しやすいともいわれています。
若い人でも染色体異常により枯死卵のリスクは抱えているのですが、高齢出産のほうがリスクが高くなるといえます。
健康な人でも高い確立で染色体異常を持つ
枯死卵になるのが染色体異常なら、高齢出産はできるだけ避けたいと思うかもしれません。しかし、若い人でも一定の割合で持っているともいわれており、受精卵の3割が染色体異常を持っているともいわれています。
枯死卵の多くは自覚症状がまったくなく、妊娠したこともわからず消滅してしまいます。まれに受精卵の染色体異常の割合が小さいものは、そのまま妊娠が可能となることもあります。その場合は出産することはできますが、21トリソミーや18トリソミーを発症することが多くなっています。
21トリソミーの8割は流産となり2割が出生、18トリソミーは95%で流産5%が出生するともいわれています。枯死卵になった場合で、何らかの染色体異常を持っていれば、もし出生することができても障害児になるリスクを抱えていることになります。
染色体異常がある受精卵を流産するのは、母体がちゃんと体の機能を働かせている証拠で、異常を持つ受精卵を自然淘汰することができるといえます。
染色体異常は繰り返すのか?
染色体異常による初期流産は健康な男女間でもとくにめずらしいことではなく、誰でも1度は経験していることなのかもしれません。枯死卵があっても気がつかない人も多く、妊娠検査薬を早めに使用しなければ、わからないことも多いのです。枯死卵ができても自覚症状はほとんどなく、腹痛や出血などは起こらず、少し重い生理がきたと思ったら流産していることも少なくありません。
そのため初期流産自体は繰り返すリスクは少なく、心配する必要はないのです。ただし、夫婦どちらかに染色体異常が見つかった場合、健康な赤ちゃんをさずかるリスクがかなり少なくなってしまいます。それでも精子や卵子の100%が染色体異常であるわけではないため、希望を捨てず根気よく不妊治療をして出産している方もいます。
枯死卵では子宮内清掃が必要となる
枯死卵と病院で診断されたら、そのまま子宮内に留まる場合と、自然と流れて処置が不要な場合があります。子宮内に留まっているのを確認した場合、子宮内清掃の処置が必要となります。
枯死卵が確認されればそのまま放置しても感染症のリスクがあるため、早めに処置をします。7週くらいで枯死卵が確認され、8週で手術というケースが多いようです。
次の妊娠は生理を1~3回くらい見送ってから、許可が出るケースが多くなっています。その回数は処置後のからだの回復具合によって変わり、問題が無ければすぐに大丈夫な場合もあります。枯死卵の手術とは掻爬手術と同じ方法となるため、からだには負担がかかってしまいます。精神的な問題もありますから、1~3回見送り問題がなければOKが出ます。
枯死卵は葉酸では防ぐことはできない
枯死卵ができてしまうのを防ぐサプリがあるなら、利用したいと考える方もいるでしょう。妊娠初期に飲むサプリとしてよく知られているのが、葉酸サプリメントです。
葉酸サプリメントは妊娠初期の問題を予防するためのもので、受精卵ができる段階の染色体異常を食い止めるものではありません。あくまでも受精卵の成長を補助する栄養素となります。そのため枯死卵予防のために葉酸サプリメントを服用しても、効果はないといえます。
まとめ
枯死卵の直接的な原因は、受精卵の染色体異常です。もともと育つことができなかった受精卵で、そのまま育っても障害がある子どもが生まれてくるリスクがあります。母体にはこのようなリスクを避けるために、ちゃんと自然淘汰する仕組みが備わっているようです。
受精卵の染色体異常は年齢とともに高まる傾向はありますが、若い人や健康なカップルでもできるものです。枯死卵と診断されても、次回も同じ状況になるとは限らないため、あまり神経質ならず前向きに次にチャレンジしてみてくださいね。